石元泰博ー写真という思考
2021年に生誕100年を迎える
孤高の写真家の初評伝!
シカゴのニューバウハウスに学び、モダンアートの精神で作品=写真を律しながら、「デザイン的過ぎる」としてそのモダンを超えようとした石元泰博(1921-2012)。『ある日ある所』『桂』『伝真言院両界曼荼羅』など40 冊余の写真集をもち、日本と米国を生きる寡黙な写真家の内なる声を聴こうとする初の評伝。“傍若無人”なドキュメント、ここに完成!
ブックデザイン・杉浦康平+佐藤篤司。第45 回造本装幀コンクール東京都知事賞受賞。
【森山明子プロフィール】
1953 年生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。75 年特許庁入庁、意匠課審査官となる。86年日経マグロウヒル社(現・日経 BP 社)入社。「日経デザイン」の創刊に関わり、93-98 年編集長。主著は『まっしぐらの花ー中川幸夫』(2005)、『石元泰博ー写真という思考』(2010)、『新井淳一ー布・万華鏡』(2012)。
【石元泰博プロフィール】
石元 泰博(1921年6月14日 - 2012年2月6日)。写真家。
アメリカ・サンフランシスコ生まれ。3歳のときに、両親の故郷である高知県に戻り1939年、高知農業学校を卒業。後に単身渡米し、カリフォルニア大学農業スクールで農業を学ぶ。まもなく太平洋戦争がはじまり日系人の強制収容に収容生活を経験。終戦後、シカゴに移住。ノースウェスタン大学建築科から転じて、シカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン(通称、ニュー・バウハウス)で写真技法や造形感覚の訓練を積む。1952年に卒業。在学中にモホリ・ナギ賞を2回受賞している。1953年に再来日。日本の伝統建築を調査し、1954年には1ヶ月にわたり桂離宮の撮影を行う。桂離宮のモダニズムを写真により見いだした作品で高い評価を受ける。丹下健三、磯崎新など日本を代表する建築家の作品を多く撮影したことでも知られる。
1957年、「日本のかたち」「桂離宮」で第1回日本写真批評家協会作家賞をはじめ数々の賞を受賞。ニューヨーク近代美術館、バウハウス美術館など国内外の美術館に作品の所蔵がある。1993年、勲四等旭日小綬章受章。1996年、文化功労者。
登録情報
著者 | 森山明子 |
---|---|
写真 | 石元 泰博 |
ISBN | ISBN978-4-901631-95-2 C0072 |
体裁 | A5 判/ 上製/4 色+ 1 色刷/324 頁 |
刊行日 | 2010年05月25日 |
ジャンル | 写真・映像 |
正誤表 | 初版1刷 |
目次
〈1999〉プロローグ 石元泰博への旅
シカゴ 一九九九年/カメラを置いて 写真家の余生
〈1948-1953〉第1章 インスティテュート・オブ・デザイン
一九四八年、ニューバウハウス入学/落書きから始まる基礎課程/キャラハンの元で写真を実践/ニューマンとの一日は二十九時間/マイノリティーと「ロリータ」
〈1921-1948〉第2章 「黒い羊」として生まれて
サンフランシスコに生まれ、土佐で育つ/工業に興味、進学は農業学校/日系人収容所での眼の危機/農業 建築 写真へのジグザグ道
〈1953-1958〉第3章 ある日ある所
スタイケンの依頼による日本滞在/桂離宮の飛び石/前衛の季節のコミッティー人脈/写真教育/東京での「ある日ある所」/異色の写真家の離日をめぐって
〈1958-1973〉第4章 シカゴ、東京、人間
おのれのシカゴを求めて/黒から浮かび上がるシカゴ/マイナー・ホワイトによる石元論/四十代は「シカゴ、シカゴ」展に始まる /雑誌の時代のメディア写真/建築雑誌のための凄まじき撮影/シカゴと比較しての都市・東京
〈1973-1983〉第5章 曼荼羅との遭遇、桂との再会
後世に残すべきは写真、ドキュメントには無関心/「伝真言院両界曼荼羅」の「復元」/不二=ふたつにあらず/複写によって兆したデザインへの疑問/プロの仕事、アマチュアの仕事/修復成った桂をカラーで/写真集における編集とデザイン/二冊目のシカゴ、東京では山手線周辺をめぐる
〈1983-1993〉第6章 日常、神話、異境
日常にひそむ無気味/『花』でも『flower』でもなく『HANA』/建築写真家としての作法/古代史へのトリップ/ラストチャンスの伊勢神宮を撮る/ニューヨークに残した後悔/イスラム圏への旅
〈1993-2009〉第7章 魂を置き去りにしないために
落ち葉と空き缶/写真家の宇宙誌/一九九四年、アルルにて/世界各地を舞台とする個展、グループ展/半世紀を越えるカラー多重露光/石元泰博 写真という思考
〈2008〉エピローグ 石元泰博+滋子 ふたりの「不二」
その一 命日/その二 『シブヤ、シブヤ』/その三 ふたりのエッセイ
[資料]
石元泰博略年譜
註
参考文献・引用文献
あとがき
関連書リンク
平木収/著 / 定価:2,163円 (本体価格:1,967円)
タウトが撮ったニッポン BRUNO TAUT:A Photo Diary in Japan
酒井道夫・沢良子/編 / 定価:1,980円 (本体価格:1,800円)
新正卓/写真 / 定価:8,140円 (本体価格:7,400円)