工芸の教育

大坪圭輔/著

工芸の教育
定価:2,640円(本体価格:2,400円)
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百聞ハ一見ニ如カズ、百見ハ一試ニ如カズ
今こそ見直したい、自らの手を使い
ものをつくることからの学び

工芸の定義から工芸教育の歴史、設備、題材開発、鑑賞まで、工芸教育の基礎をおさえながら、教育の枠を超えた広い視野で工芸をとらえ考察。合理化・デジタル化がすすむ現代社会に求められる、「工芸」=「手仕事」の存在意義と「工芸の教育」の可能性を探究する。汎用的能力としての「創造力」を育むために、身体性を伴う「ものづくり」はいかに機能するのか。

【大坪圭輔(おおつぼ・けいすけ)】
1953 年、長崎県生まれ。1979 年、武蔵野美術大学大学院修士課程修了。
武蔵野美術大学教授。専門分野は、美術・工芸教育法、教育方法。初等中等教育段階を中心とする造形美術教育の実践的研究。特に、造形能力の発達とその社会的教育的意味に関する研究、及びその題材と教育方法の開発。
主な著書に、『美術教育資料研究』(武蔵野美術大学出版局、2014)、平成24 年度用文部科学省検定済中学校美術教科書『美術1』・『美術2・3(上下)』(著者代表、開隆堂出版,2012)、『美術 表現と鑑賞』(共同監修・共著、開隆堂出版、2011)、『美術教育の動向』(共編著、武蔵野美術大学出版局、2009)など。
現在、国際美術教育学会(InSEA)会員、美術科教育学会会員、開隆堂中学美術教科書編集委員会(日本造形教育研究会)著者代表、公益社団法人日本美術教育連合代表理事、公益財団法人教育美術振興会評議委員。

*2017年4月刊行時

MAU通信教育課程教科書
他校教科書採用
登録情報
著者大坪圭輔
ISBNISBN978-4-86463-058-0 C3037
体裁A5 判/336 頁
刊行日2017年04月01日
ジャンル教育

目次

はじめに
科目としての工芸/普通教育と専門教育/現代における創造力/ 2 つの思考方法

第1 章 百見ハ一試ニ如カズ
第1 節 ものづくりの教育
仕事と労働/工芸大国/生活工芸/伝承という教育/一試ニ如カズ
第2 節 ニワトリを育てて食べる授業
実学/命の授業/学力論
第3 節 言葉と体験の間
身体性による学び/言葉と体験
第4 節 生活の変化と身体性
火打石/熨斗袋

第2 章 工芸の定義と工芸教育
第1 節 工芸の定義
工芸の教育からの工芸論/工芸概念の成立/工芸の分類/デザインとしての工芸/雑貨論
第2 節 万国博覧会と工芸
博覧会の時代/ウィーン万国博覧会/博覧会派遣員報告
第3 節 徒弟制度の教育
職人尽絵/木に学べ/徒弟制度と教育制度
第4 節 現代の工作・工芸教育
教科名/小学校図画工作科/中学校美術科/高等学校芸術科工芸
第5 節 工業科、美術科の工芸デザイン
専門学科/専門学科工業の科目/専門学科美術の科目

第3 章 手工教育の変遷
第1 節 手工・工作・工芸・技術・芸術
美術と技術/工芸と工業/工作と工芸へ
第2 節 手工教育のはじまりとしての「恩物」
フリードリヒ・フレーベル/東京女子師範学校附属幼稚園/「恩物」の構成
第3 節 手工科の設置とスロイド
工業と工芸、手工/手工科創設/文部省手工講習会/スロイドシステム/後藤牧太の手工教育説
第4 節 小学校手工科の普及と確立
加設科目手工/手工教科書
第5 節 岡山秀吉と阿部七五三吉の手工教育
手工教育の状況/岡山秀吉の手工教育/阿部七五三吉の手工教育
第6 節 自由主義教育における手工
石野隆「創作手工」/山本鼎「工芸手工」/手工教育の改革/手工科の子どもの作品
第7 節 中学校「手工科」と「作業科」、「芸能科工作」
中学校の変遷と手工/基本科目作業科/中等学校芸能科工作/国定教科書『工作』
第8 節 国民学校「芸能科工作」
「工作科」誕生/国民学校令/芸能科工作の指導/芸能科工作の教材

第4 章 工芸教育の変遷
第1 節 戦後教育改革期の工作・工芸教育
学習指導要領成立の背景と改訂の経緯/「学習指導要領 図画工作編 試案 昭和二十二年度」における「工作」/新制高等学校における「工作」
第2 節 芸術教育としての工芸教育
高等学校芸術科工芸の誕生/昭和35 年改訂告示 高等学校学習指導要領/ 1960(昭和35)年「芸術科工芸」の教科書
第3 節 芸術科工芸
学習指導要領の分析/クラフトとプロダクト
第4 節 中学校美術科と技術・家庭科
試案から告示へ─中学校学習指導要領/「昭和26 年(1951)改訂版」と「昭和33 年改訂告示」の比較/中学校美術科教科書/中学校技術・家庭科の内容

第5 章 工芸の技法
第1 節 道具と手仕事
刃物と教育/大工道具/方法と技
第2 節 工作・工芸の教室と教材
学校施設整備指針/普通科高等学校の工芸教室/教材整備指針/キット教材
第3 節 技法と題材開発
工芸授業の題材開発/木工/陶芸/金工/テキスタイル/ガラス/編組素材/モデルメーキング/その他の技法素材

第6 章 工芸の鑑賞
第1 節 行動としての鑑賞
鑑賞行動/幼児の行動から/鑑賞行動の日常性/「めでる」と「たなごころ」
第2 節 工芸デザイン史
文部科学省著作教科書『高等学校用デザイン史』/学習指導要領 工芸Ⅰ、工芸Ⅱ、工芸Ⅲ/工芸Ⅱにおける「近代デザインの変遷」/資料「椅子の変遷」
第3 節 手仕事の日本
手仕事/伝統工芸/民藝運動/民藝の鑑賞
第4 節 文化財保護法と伝産法
文化と経済/文化財保護法/伝統的工芸品産業の振興に関する法律/伝統的工芸品

おわりに
「機能美」と「用の美」/大いなる素人工芸愛好家/工業・工芸高等学校の行方/暗黙知と形式知/謝辞

索引

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