美術館はぼくらの遊び場だ!
新しい美術館のあり方を模索して生まれた数々のワークショップ。
「日常と美術」をテーマに、代表的な8 企画を担当学芸員と
横尾忠則はじめアーティストたちがつづる
1986 年、東京の砧の森に世田谷美術館が開館した。編者の高橋直裕はここで学芸員として、「日常と美術」をテーマに地域に密着した果敢な活動を行ってきた。子どもたちが「美術館はぼくらの遊び場だ!」と感じられるよう、ぐちゃぐちゃのどろんこ遊び、絵の具に溺れるようなお絵かき、夏休みに連続7 日間かけて台本から衣装・舞台装置まで子どもたちでつくりあげる演劇、館内をバックヤードまで見せるミュージアム・オリエンテーリングなど、とにかく「面白い」を企画の中心に据える。一方、大人向けには、身近なモノに関心を寄せ、あらたな眼差しを獲得しようと街へ。色街を集団でゾロゾロ歩き、銭湯を巡れば富士山のペンキ絵まで体験。
とんでもない企画を大まじめに考え、とつぜん大物アーティストに電話をかけて口説き落とし、人前で絵を「描かせる」ワークショップに引っ張り込む高橋。ひとつのワークショップが次のワークショップを呼び寄せ、常連の参加者はリーダーとなり、ゴム草履で館内を駆け回っていた子どもはボランティアとして戻ってくる。
本書では、代表的な8 つのワークショップを高橋とゲスト著者の両者が執筆。多彩なゲストはアーティストや演劇人、写真家や研究者はもちろん、ワークショップをささえたボランティアや参加者。「ワークショップなんて、何のためにやるのか分からない」という方にこそ、本書をオススメしたい。
登録情報
編者 | 高橋直裕 |
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執筆者 | 高橋直裕・伊藤公象・横尾忠則・生田 萬・郷 泰典・スタン アンダソン・太田三郎・大竹 誠・飯田 鉄・須藤訓平 |
ISBN | ISBN978-4-86463-001-6 C3037 |
体裁 | A5 判/216 頁 |
刊行日 | 2011年12月28日 |
ジャンル | ワークショップ/教育 |
目次
まず、はじめに 高橋直裕(世田谷美術館学芸員)〔以下❖〕
序章 世田谷美術館のワークショップ
二五年間の軌跡 ❖
第1 章 開館記念展第四部「子どもと美術」ワークショップ
ここから全てが始まった! ❖ /土の襞を作るこどもたち 伊藤公象(陶芸家)
第2 章 公開制作
まずは人集めから ❖ /観客とぼくと何者かによる共犯作品 横尾忠則(アーティスト)
第3 章 ゲンキニ・エンゲキ
夏休みの想い出を… ❖ /「世田谷遺産」は一粒で三度おいしい 生田 萬(劇作家)
第4 章 ミュージアム・オリエンテーリング
美術館を楽しむ・美術館に遊ぶ ❖ /この“どうしようもない感覚”の虜 郷 泰典(学芸員)
第5 章 バック・トゥー・ネイチャー
美術館を出て自然の中で ❖ /自然に帰ろう! スタン・アンダソン(造形作家)
第6 章 日常即美術也
「日常と美術」を考える ❖ /ワークショップの鉄人 太田三郎(アーティスト)
第7 章 建築意匠學入門
オトナのための怪しくも楽しい街歩き ❖ /街に自らの痕跡をもとめて 大竹 誠(現代デザイン研究室)
第8 章 TOKYO パノラマウォーク
写真家の眼で歩く健全でオシャレな街歩き ❖ /その時、とつぜん知らない過去が匂いだす 飯田 鉄(写真家)
終章 「日常と美術」は二五年間の活動で実現できたのか?
変わりゆく日々とともに ❖ /ぼくらの世田谷美術館 須藤訓平(ワークショップ1 期生)
おわりに ❖
資料編 世田谷美術館ワークショップ1986-2009
参考文献
書評・紹介
関連書リンク
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