表現者のための憲法入門 *品切

志田陽子/著

表現者のための憲法入門 *品切
定価:2,200円(本体価格:2,000円)
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表現の自由とは? 知る権利とは?
国際社会のなかでの日本をみつめ
表現者として憲法の扉を叩く

憲法は、困難に出合った人々が先々の社会に向けて残した重要な英知である。「表現の自由とは?」という問いをはじめに、保障される内容と国家の仕組みを憲法の条文にもとづき、豊富な事例で学ぶ入門書。各章にジャーナリスト豊田直巳の写真を配し、国際社会のなかでの日本を強く意識し、いま表現者として憲法の扉を叩く!

MAU通信教育課程教科書
他校教科書採用
登録情報
著者志田陽子
ISBNISBN978-4-86463-028-3 C3032
体裁A5 判/280 頁
刊行日2015年04月01日
ジャンル人文・社会・自然
正誤表 初版1刷
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目次

はしがき

第1章 表現の自由
1「表現の自由」の価値と弱さ
(1)「一切の表現の自由」
(2)「検閲の禁止」
(3) 通信の秘密
(4)「表現の自由」保障の意味――価値と弱さ
(5)「表現の自由」の限界――「公共の福祉」
2 表現の自由と人格権
(1)名誉毀損
(2)プライバシーの権利
(3)肖像権とパブリシティ権
(4) 青少年の発達・発展の権利
3 表現の自由と民主主義
(1)政治的表現の自由
(2)知る権利
4 表現の自由と共存社会
(1)性表現に対する規制
(2)差別表現・ヘイトスピーチ
5「表現の自由」と経済社会
(1)広告表現
(2)著作権の保護と「表現の自由」

第2 章 精神的自由
1 思想・良心の自由 第19 条
(1)保障される内容
(2)主要な裁判例と残されている課題
2 信教の自由と政教分離
(1)個人の精神的自由としての「信教の自由」
(2) 国家が守るべき原則としての「政教分離」
3 学問の自由
(1)学問の自由
(2)「大学の自治」

第3 章 人身の自由と法の適正手続
1 人身の自由
(1)「奴隷的拘束」「意に反する苦役」
(2)現代における「人身の自由」保障
2 法の適正手続
(1)国民全体にとって必要な権利
(2)法の手続の適正性、公正性
(3)被疑者の権利:逮捕から取り調べに至るルール
(4)被告人の権利:「裁判を受ける権利」と公正性を確保するルール
(5)無罪判決と刑事補償
(6)受刑者の人権
(7)社会復帰後の人権

第4 章 経済活動の自由
1「自由」と弱者と「公共の福祉」
(1)身近なところから
(2)経済活動の自由の出発点
(3)近代から現代へ――国家の役割の変化と「公共の福祉」
(4)規制の目的と違憲審査
2 職業選択の自由、居住・移転の自由
(1)職業選択の自由と営業の自由
(2)居住・移転の自由
(3)海外渡航の自由
(4)外国人の入国、在留の権利
3 財産権
(1)財産権保障の意味
(2)財産権の制限と「公共の福祉」
(3)財産の公用と補償
4 経済活動の自由と知的財産権
(1) 制度の趣旨と概観
(2) 表現も、経済の世界では制約が
(3) 憲法と知的財産権

第5 章 社会権
1 福祉国家の視点
(1)イメージと歴史
(2)権利保障の意味と国家の仕組み
2 生存権
(1)健康で文化的な最低限度の生活の保障
(2)福祉国家としての努力義務
3 勤労者の権利
(1)勤労の権利義務と労働条件の法定
(2)勤労者の労働基本権と企業の義務
(3)公務員と教員
(4)今日の日本社会の問題
4 教育を受ける権利、子どもの権利
(1)憲法第26 条の原風景
(2)子どもの側の「権利」と、親と国家の「義務」
(3)日本国憲法と「子どもの権利条約」
(4)教育内容の「平等」と「自由」
(5)《多様性》の尊重

第6 章 国民主権と国家の仕組み
1 国民主権と立憲主義
(1)国民主権と民主主義――自分たちのことは自分たちで決める
(2)民主主義と立憲主義――「最高法規」の意味
(3)憲法保障と権力の分散
2 立法と国会──意思決定の作用と機関
(1)民主主義の集約点としての立法機関
(2)議員の資格──民主主義のための「平等」と「任期」
(3)相互チェックと討論を確保するルール
(4)国会の活動──会期、議決、調査
3 行政と内閣──国政の実行
(1)行政権と内閣
(2)内閣と国会の信任関係──議院内閣制
(3)内閣の職務、権限と責任
4 財政──国政にかかるお金のやりくり
(1)財政民主主義と財政法律主義
(2)予算・決算の議決と公開
5 司法と裁判所──トラブル解決
(1)司法権の独立と裁判官の職務
(2)違憲審査制
6 地方自治──ローカルな自己統治と「住民」
(1)地方自治の本質と目的
(2)地方公共団体の組織と権限
7 象徴としての天皇
(1)「象徴」の意味と地位
(2)天皇の行為

第7 章 参政権と国務請求権
1 参政権
(1)選挙権
(2)裁判所に対する主権者のチェック
(3)憲法改正における国民投票
2 国務請求権
(1)請願権
(2)裁判を受ける権利
(3)刑事補償請求権
(4)国家賠償請求権

第8 章 人権保障の基本原理[1]個人、自律、尊重
1 憲法における《人》
(1)「国民」と「個人」
(2「国民」と「外国人」
(3) 法人、公務員、未成年者
2 人権保障の基本原理
(1)「個人の尊重」と「公共の福祉」
(2)個人の自律と「幸福追求権」
(3)生命権
3 憲法と世界史――人権宣言の歴史概観
(1)人間の権利としての人権――17 世紀からの大きな流れ
(2)憲法の世界的広まりと内容の変化── 20 世紀以降の人権保障の流れ

第9 章 人権保障の基本原理[2]法の下の平等
1 世界史の視野で「平等」を考えよう
(1)不平等な制度からの自由――形式的平等
(2)不平等を拡大させる現実への配慮――実質的平等
(3)「マイノリティ」の多様化
2 日本国憲法第14 条「法の下の平等」
(1)「法の下に平等」の意味
(2)差別の理由にしてはならない事柄
(3)差別が起きるさまざまな場面
3 家族・親密関係と平等
(1)家族関係と平等
(2)社会のなかのジェンダー問題、性的マイノリティ問題
4 文化・社会関係と平等
(1)多文化社会と憲法
(2)文化的多様性の尊重とジェンダー平等の課題
5 外国人の人権
(1)可能なものは「平等」が原則だが
(2)精神的自由や移動の自由、人格権など
(3)参政権
(4)経済活動の自由と社会権

第10 章 平和のうちに生存する権利
1 「平和のうちに生存する権利」と「武力の放棄」
(1)日本国憲法誕生の意味
(2)憲法第9条の意味――非武装平和という選択
2 国際社会のなかで揺れる憲法第9 条
(1)世界史で考える平和秩序構築の流れ
(2)冷戦・自衛隊・日米安全保障
(3)冷戦終了と21 世紀に残された課題
3 環境・災害と「平和のうちに生存する権利」
(1)災害大国ニッポン
(2)米軍基地問題
(3)核の時代の「平和のうちに生存する権利」

 参考文献
 キーワード索引
 事例索引

<コラム>
二度と繰り返してはならない、表現者たちの死
「芸術の自由」
「特定秘密保護法」と「知る権利」
権利主体の多様化・重層化──個人・メディア・インターネット
正義に名を借りた暴力を防ぐために
契約の自由と消費者保護
先端医薬品の特許と後発地域の医療福祉
著作権の保護が表現の自由と衝突するとして争われた裁判──エルドレッド事件
弱者が置かれる状況と克服の道
生活保護法に定められている保護の内容
『検定不合格日本史』と教科書検定訴訟
国政と主権者の眼【1】──「会議・財政の公開」と「知る権利」
国政と主権者の眼 【2】──「裁判の公開」と「裁判員制度」
選挙制度と表現の自由
主な法律における未成年者の年齢設定
環境権
「法の下の平等」と重要判例
性的マイノリティの権利と同性婚論争
社会のなかで、私人同士の間で起きる人権侵害は?
外国人の人権をめぐる裁判
核兵器に関する主な条約

関連書リンク

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