絵画組成絵具が語りはじめるとき
絵画組成(かいがそせい)とは、
素材研究であり工程であり
技術と思考の融合である。
ムサビ油絵学科の授業が1冊に。第1章では9人の教授による徹底的なアトリエでの個別指導を再現。第2章では「絵画は物質から成り立っている」ことを分析し、フレスコ、テンペラをはじめ、ヴェネツィア派以降17世紀のオランダ油彩技法まで、古典技法の研究を通じて各時代の絵画の構築と思考法を学ぶ。第3章はその実践編。小尾修、塩谷亮らがデッサン・油彩・混合技法等の制作過程を多数の図版で再現。初心者からプロまで使える技法書。
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川口起美雄(かわぐち・きみお)
一九五一年長崎県生まれ。国立ウィーン応用美術大学留学。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。七五~七七年オーストリア国立ウィーン応用美術大学に在籍。ウィーン派の巨匠ウォルフガング・フッター教授の下でブリューゲルを中心に北方ルネサンスの混合技法を習得。八五~八六年、文化庁在外研修員としてイタリアに渡る。フィレンツェ市修復監督機関(ウフィツィ美術館)においてフラ・アンジェリコを中心にイタリア・ルネサンスの混合技法を学ぶ。故郷を喪失したものたちの回帰の旅の記録者であろうとする一連の作品を制作している。八七年安井賞(佳作賞受賞)。パブリックコレクション:神奈川県立近代美術館、東京オペラシティギャラリー、新潟市美術館、府中市美術館、平塚市美術館ほか。
丸山直文(まるやま・なおふみ)
一九六四年新潟県生まれ。Bゼミ・スクーリングシステム修了。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。八八年から作品を発表。九五年まで抽象画を、また近年では具象画の作品を制作。九六年文化庁芸術家在外研修員。九八年ポーラ美術振興財団の奨学生としてベルリンに滞在。二〇〇八年芸術選奨文部科学大臣新人賞。パブリックコレクション:東京国立近代美術館、北九州市立美術館、いわき市立美術館、東京都現代美術館、Japan Foundation、金沢21世紀美術館、新潟県立万代島美術館、国立国際美術館、高松市美術館、北海道立釧路芸術館、東京ステーションギャラリー、ヴァンジ彫刻庭園美術館、資生堂アートハウス、豊田市美術館、新潟市美術館、UBS銀行ほか。
袴田京太朗(はかまた・きょうたろう)
一九六三年静岡県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。研究テーマは、彫刻の不可能性と可能性。九四年文化庁芸術家在外研修員として渡米。九六年五島記念文化賞美術新人賞受賞による海外研修として、中国、チベットほかに滞在。二〇一二年第二二回タカシマヤ美術賞、静岡県文化奨励賞受賞。一一年静岡市美術館、一四年平塚市美術館で個展を開催。一三年「ミニマル/ポストミニマル」宇都宮美術館、一六年「つらなるかたち」清津倉庫美術館などに出品。パブリックコレクション:宇都宮美術館、佐久市立近代美術館、横浜美術館、資生堂アートハウス、西南学院大学、ファーレ立川ほか。
水上泰財(みずかみ・たいざい)
一九六二年富山県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。八八年から個展を中心に作品を発表する。主に社会で起こる様々な事象から発想を得、自然と人間、社会と個人、風習や流行、それらに時には翻弄され、時には反抗する同時代を生きる人々の姿をとおして作品にしたものが多い。九二年日伯現代美術展最優秀賞、九五年日本海美術展大賞、同年セントラル美術館油絵大賞展佳作賞等を受賞。パブリックコレクション:富山県立近代美術館、駒込高校モザイク壁画。『3つのアングルから見る 日常の動作を描くヌードポーズブック』二〇〇九年(池田書店)。
小林孝亘(こばやし・たかのぶ)
一九六〇年東京都生まれ。愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。九六年文化庁芸術家在外研修員としてバンコクに滞在。二〇〇二年『小林孝亘作品集 ひかりのあるところへ』(日本経済新聞社)、一四年『小林孝亘─私たちを夢見る夢』(青幻舎)、一六年『普通のくらし、あたりまえの絵─小林孝亘の制作ノート』刊行。二〇〇〇年「近作展 23」国立国際美術館(大阪)、〇四年「終わらない夏」目黒区美術館、一四年「小林孝亘─私たちを夢見る夢」横須賀美術館等の個展の他、国内外での企画展に参加。作品は、東京都現代美術館、国立国際美術館、広島市現代美術館、北海道立釧路芸術館、水戸芸術館、栃木県立美術館、大原美術館、高松市美術館、愛知県立芸術大学等に収蔵されている。
樺山祐和(かばやま・さちかず)
一九五八年福岡県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。新制作協会会員。九一年五島記念文化財団および武蔵野美術大学パリ賞によりフランスに滞在。主な個展:銀座スルガ台画廊、パリ国際芸術都市、東急文化村ギャラリー、銀座あかね画廊、紀伊國屋画廊、コートギャラリー国立、NICHE GALLERY、上野の森美術館ギャラリーほか。主なグループ展:新制作展(国立新美術館)、五島記念文化財団「美の潮流」展(Bunkamuraザ・ミュージアム)、ENCOUNTER既知との遭遇・北九州における現代アートの系譜(北九州市立美術館黒崎市民ギャラリー)、ペインティングの現在─4人の平面作品から─(川越市立美術館)。パブリックコレクション:文化庁、上野の森美術館、倉吉博物館、株式会社ビデオ・リサーチ。
赤塚祐二(あかつか・ゆうじ)
一九五五年鹿児島県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。コバヤシ画廊、ギャラリー米津、ギャラリー池田美術、村山画廊、鎌倉画廊などで個展を開催。主なグループ展は九二年「現代美術の視点-形象のはざまに」東京国立近代美術館・国立国際美術館(大阪)、九四年「光と影─うつろいの詩学」広島市現代美術館、九五年「視ることのアレゴリー:絵画・彫刻の現在」セゾン美術館(東京)、二〇一二年「抽象と形態─何処までも顕われないもの」DIC川村記念美術館(千葉)など。パブリックコレクション:東京国立近代美術館、セゾン現代美術館、横浜美術館、東京オペラシティアートギャラリー、いわき市立美術館、府中市美術館、都城市立美術館、滋賀県立近代美術館、愛知県美術館、東京都現代美術館、新潟市美術館ほか。
長沢秀之(ながさわ・ひでゆき)
一九四七年埼玉県生まれ。武蔵野美術大学卒業。武蔵野美術大学名誉教授。八〇年代後半から「風景─◯◯」と名づけられた一連の絵画を発表。また、絵画の奥行きを現実の時間や空間になぞらえながら「大小と遠近」や「皮膜」シリーズを発表し、水彩や線画などにも展開する。二〇一七年には過去の写真を下絵として、その上に無数の油彩タッチをおいていく「未来の幽霊」を発表。個人の歴史と時間を探る─対話「私が生まれたとき」は文章とドローイングで構成され、現在三編目が進行中。パブリックコレクション:東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、セゾン現代美術館、大原美術館、高松市美術館、川越市立美術館、茨城県近代美術館、栃木県立美術館、広島市現代美術館、網走市立美術館、武蔵野美術大学美術館・図書館。https://nagasawahideyuki.net/
遠藤彰子(えんどう・あきこ)
一九四七年東京都生まれ。武蔵野美術短期大学卒業。武蔵野美術大学名誉教授。八六年文化庁芸術家在外特別派遣・渡印(~八七年)。主な賞歴:七八年昭和会展・林武賞受賞。八六年安井賞展・安井賞受賞。二〇〇七年平成一八年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞(美術部門)。一五年紫綬褒章受章。主な個展:九二年「遠藤彰子展─群れて…棲息する街─」(西武アート・フォーラム)。〇四年「力強き生命の詩─遠藤彰子展」(府中市美術館)。一四年「遠藤彰子展─魂の深淵をひらく」(上野の森美術館)。パブリックコレクション:文化庁、東京国立近代美術館、茨城県近代美術館、富山県立近代美術館、北海道立旭川市美術館、横浜美術館、府中市美術館、新潟市美術館ほか。『遠藤彰子 Cosmic Soul』二〇一七年(武蔵野美術大学出版局)。http://www.akiko-endo.com/painter/
小尾 修(おび・おさむ)
一九六五年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術科専攻油絵コース修了。武蔵野美術大学非常勤講師。九一年セントラル美術館油絵大賞展大賞受賞。九三年安井賞展出品。二〇〇四年第六回前田寛治大賞展準大賞受賞。一〇~一一年文化庁新進芸術家海外派遣制度研修員として一年間パリにて研修。一三年「DOMANI 明日展」国立新美術館出品。一四年『小尾修画集 痕跡』出版。一八年Realismo Japonés Contemporáneo(Museo Europeo de Arte Moderno バルセロナ)出品。http://www.osamu-obi.com/
塩谷 亮(しおたに・りょう)
一九七五年東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。武蔵野美術大学非常勤講師、長岡造形大学非常勤講師、九州産業大学芸術学部客員教授。二紀会会員。二〇〇八年文化庁新進芸術家海外研修員としてフィレンツェに滞在、イタリア・ルネサンス期の古典技法を研究する。主な個展:一〇年「文化庁在外研修報告展」彩鳳堂画廊、一七年「塩谷亮展─瞬く間にひそむ叙情を求めて」Bunkamura Gallery。主なグループ展:一九九八年~「二紀展」国立新美術館、二〇一二年「DOMANI 明日展」国立新美術館、一七年「現代の写実─映像を超えて」東京都美術館。一七年『塩谷亮画集』(求龍堂)。
中尾直貴(なかお・なおき)
一九八六年島根県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。二〇〇九~一四年白日会、一四年第九回・一八年第一〇回前田寛治大賞展出品。一五、一九年武蔵野美術大学非常勤講師。裸婦をモチーフに身体の表現を追い求める。媒体となる絵具や支持体もまた身体であるという考えをもとに、学生時代から技法を学び展開している。個展:ギャラリーアルトン、アートフェア東京、日本橋高島屋。
柿沼宏樹(かきぬま・ひろき)
一九八五年東京都生まれ。武蔵野美術大学造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。自分自身と社会に起こる多様な価値観やそこから生まれる矛盾を紡いで、ひとつの景観に綴っていく作品を制作している。泰明画廊、秋華洞、FUMA Contemporary Tokyo、Sunrise Art Gallery等での個展やグループ展のほか、日動画廊の企画展に参加。アートフェア東京をはじめ、アジアや欧米のアートフェアで作品を発表。二〇一〇年佐藤国際文化育英財団第一九回奨学生展、一六年昭和会展、一七年上野の森美術館大賞展(優秀賞受賞)。パブリックコレクション:上野の森美術館。https://www.art-jardin.com/kakinuma/
*2019年3月刊行時データです
登録情報
編者 | 武蔵野美術大学油絵学科研究室 |
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著者 | 川口起美雄・丸山直文・袴田京太朗・水上泰財・小林孝亘・樺山祐和・赤塚祐二・長沢秀之・遠藤彰子・ 小尾修・塩谷亮・中尾直貴・柿沼宏樹 |
ISBN | ISBN978-4-86463-100-6 C3071 |
体裁 | A5判/4色刷/264頁 |
刊行日 | 2019年03月30日 |
ジャンル | 美術 |
目次
まえがき
第1章 九人の作家による表現論
絵の下にあるもの 丸山直文
「本物」はどこにあるのか 袴田京太朗
モチーフの奥にみえるもの 水上泰財
思いの形 小林孝亘
光について 樺山祐和
「絵画の物語」―制作の山野(フィールド)を越えて 赤塚祐二
風土にみる「表現」と「技法」 川口起美雄
日本の絵の時空 長沢秀之
此処に在る私 遠藤彰子
第2章 素材と技法の基礎
1−支持体
2−地塗り
3−顔料
4−展色剤
5−フレスコ画
6−テンペラ画
7−油彩画
8−アクリル画
第3章 技法と表現の展開
1−インプリミトゥーラ
2−デッサン
柿
手と足
3−油彩によるドローイング
女性頭部
4−テンペラ
植物
少年像
5−混合技法
青年像
雛
トマト
6−油彩
人物の背中
水たまり
風景
7−仕上げワニス
あとがき
関連書リンク
三浦明範/著 / 定価:2,640円 (本体価格:2,400円)
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