2019年8月9日(金)〜2019年9月21日(土)武蔵野美術大学美術館
くらしの造形20 「手のかたち・手のちから」 の展覧会にあわせ刊行!
武蔵野美術大学民俗資料室には民俗学者・宮本常一の収集品など生活道具約9万点が残る。生活道具もまた美術やデザインなど表現活動の源泉となるという視点で集められた収蔵品だ。暮らしの造形が生活の中から生まれるとはどういうことか。手の機能を形にしたさまざまな生活道具と、祈りの形としての三方石観世音奉納「御手足」という具体的な造形を通して、生活の中にある「手のかたち・手のちから」を探る。
武蔵野美術大学美術館
神野善治(かみの・よしはる)
1949年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。博士(民俗学)國學院大学。武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授。
人が、自然と人間と神との三つ巴の関係のなかで生きていくために世代を超えて伝えてきた「技と知恵」。これを「民俗」ととらえ、無形の伝承(祭りや職人の技など)と有形の伝承(とくに「民具」と呼ばれる生活の道具類)、その両方の世界を総合的にとらえ得る視点を見出すことを研究テーマとしている。「時」の民俗・民具の研究も久しく継続中。
著書:『人形道祖神―境界神の原像―』白水社、1996年(第36回柳田國男賞受賞)、『木霊論(こだまろん)―家・船・橋の民俗―』白水社、2000年。編著に『ミュージアムと生涯学習』武蔵野美術大学出版局、2008年、『日本のくらしの知恵事典』岩崎書店、2008年など。
*2019年8月刊行時データです
登録情報
編者 | 神野善治 |
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著者 | 神野善治・小薮大輔・室山哲也・三橋光太郎 |
ISBN | ISBN978-4-86463-102-0 C3070 |
体裁 | B5判変型/4色刷/128頁 |
刊行日 | 2019年08月30日 |
ジャンル | 芸術理論/人文・社会・自然 |
目次
刊行にあたって
I 手と祈り
1. 若狭三方石観世音の奉納御手足
三方石観世音との出会い/三方石観世音の由来伝説/御手足堂について/奉納された御手足の数
2. 「てんぽなーれ三方」―33年目の御開帳
御開帳の記憶/平成5年の御開帳/「てんぽなーれ三方」の由来
3. 街道に沿って―信仰圏を歩く
主要街道に沿ってひろがる奉納者の分布/遠隔地からの奉納
4. 御手足の造形の魅力
手形の表現/足形の表現/痛みの表出
5. 多様な奉納品
胴部の表現/下半身の表現/人形・頭部形/乳形/男根形/馬の脚と蹄/小絵馬
6. 奉納品の年代
7. 手形の呪術力―人はなぜ手形を残すのか
日本各地の手形足形奉納習俗/なぜ病気平癒の呪力が生じたか/形代から「護符」への転換/ちからの象徴としての「手形」/世界の手形・歴史上の手形
8. 防ぐ手、招く手
青森「ねぶた」の手/防ぐ手と招く手/阿波木偶箱廻しの手―福を届ける呪力
Intermezzo 1 人形浄瑠璃・文楽人形―巧みな手のかたちと動き
Intermezzo 2 哺乳類のさまざまな手のかたち/小薮大輔
Intermezzo 3 手と脳―ペンフィールドのホムンクルス
Intermezzo 4 ロボットアームが教えるヒトの手の未来/室山哲也
Intermezzo 5 スプーン、あるいはスコップと水たまり/三橋光太郎
II 手と道具
はじめに
1. 手のかたちの道具
2. 手のはたらきと道具
道具の機能分類/1.つかむ手/2.たたく手/3.すくう手、くむ手/4.かく手、つる手/5.はく手、はらう手/6.する手、こする手/7.すく手、ふるう手/8.あおる手、ひる手/9.たもつ手/10.しめす手/11.さぐる手
3. 今後の展開に向けて
書評・紹介
関連書リンク
神野善治/監修 / 定価:2,090円 (本体価格:1,900円)
岡部あおみ・神野善治・杉浦幸子・新見隆/著 / 定価:2,163円 (本体価格:1,967円)
若林直樹・白尾隆太郎/編著 / 定価:4,620円 (本体価格:4,200円)
水尾比呂志/著 / 定価:3,776円 (本体価格:3,433円)