絵画の表現
アートの本質を理解し、絵を描くことで表現するための
ものの見方、感じ方、考え方を身につけた美の探求者をめざす。
絵は、テーマやモチーフ、テクニックなどにとらわれることなく、描きたいように描けばよい。しかし、描くことで何ごとかを表現するのには、行為以前にさまざまな観察や思考を積み重ね、イメージを豊かに膨らませることが欠かせない。真に自由で、斬新で、見る者の心に響く絵を描くためには何が必要なのか? ふたりの画家による絵画の表現をめぐる実践的考察。参考図版を多数掲載。
三浦 明範(ミウラ アキノリ)
1953 年、秋田県生まれ。武蔵野美術大学造形学部教授。春陽会会員。日本美術家連盟会員。
76 年、東京学芸大学卒業。83-84 年、文化庁派遣芸術家国内研修員。96-97 年、文化庁派遣芸術家在外研修員としてベルギーに滞在。油彩画材料、15世紀フランドル絵画を研修。
主な発表として、76年~「春陽展」(80年新人賞、91年春陽展賞)、81年「東京セントラル油絵大賞展」(83 年招待)、82年「昭和会展」(同83、84年)、84年「安井賞展」(同85、86、88、93年)、85年「具象絵画ビエンナーレ」、87年「日本の絵画新世代展」(同89、91年)、91年「両洋の眼・現代の絵画展」(同2009年)、91年「21世紀への証言展」、92年「21世紀の旗手展」(同93、94年)、97年“MaitresD'aujourd'hui”(ブリュッセル)、97年“Lineart”( ゲント、同98 年)、98年“Masterpieces”(ブリュッセル、同00、02年)、99年「写実の世紀――冨田賞展」、04年“KunstRAI”(アムステルダム、同05年)、05年「第2回北京ビエンナーレ2005」(北京)、05年“PAN exhibition”(アムステルダム、同12、17年)、06年“Hedendaags Realisme”(アントワープ)、08年「旅展」、10年「The写実展」( 同11年)、12年“Mokum 50 jaar!”(アッセン)、17年「リアルのゆくえ展」「文化庁新進芸術家海外研修制度50 周年記念展」などに出品のほか、個展多数。
主な論文、著書として、「15世紀フランドル絵画の技法と材料」(『女子美術大学紀要 第29号』99年)、「金属尖筆(メタルポイント)によるドローイング」(『女子美術大学紀要 第32号』02年)、「下地塗料の開発」(『女子美術大学研究所年報 第1号』05年)ほか。単著に『絵画の材料』(武蔵野美術大学出版局、2020年)、共著に『造形の基礎 アートに生きる。デザインを生きる。』(白尾隆太郎・三浦明範/著、武蔵野美術大学出版局、2020年)。
吉川 民仁(ヨシカワ タミヒト)
1965年、千葉県生まれ。武蔵野美術大学造形学部教授。
91年、武蔵野美術大学大学院造形研究科油絵コース修了。
90年から個展を中心とした作品を発表する。抽象表現による絵画の制作を試みている。95年、文化庁芸術インターンシップ研修員。
主な個展として、90年「鎌倉画廊/東京」(同93、95、97年)、2000年「鎌倉画廊/鎌倉」(同03、06、09、12、14年)、05年「ギャラリー覚/東京」、08年「日本橋髙島屋美術画廊X/東京」(同10、13、15、18年)、11年「古美術長野/東京」(同14、17年)、17年「数寄和/東京」(同19年)、18年「ギャルリーためなが/パリ」、「MARUEIDO JAPAN /東京」。
主な展覧会として、94年「VOCA展 '94」(同96年)、01年「第20回安田火災財団選抜奨励展」安田火災東郷青児美術館、「Chiba Art Now '01絵画の領域展」佐倉市立美術館、06年「見ること/作ることの持続―後期モダニズムの美術展」武蔵野美術大学美術資料図書館、12年「抽象と形態:何処までも顕れないもの展」DIC川村記念美術館、16年「コレクション展―出来事『いま、ここ』という経験」愛知県美術館、18年「Nouvelle ère du Japon Ⅲ」ギャルリーためなが/パリ、20年「巴里を魅了する和の九人展」ギャルリーためなが/東京、「平面と立体―共鳴するノスタルジア展」髙島屋(東京、京都、大阪、名古屋巡回)など。
パブリックコレクション:愛知県美術館
*プロフィールの内容は、出版刊行時のものです。
登録情報
著者 | 三浦明範・ 吉川民仁 |
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ISBN | ISBN978-4-86463-126-6 C3071 |
体裁 | B5変型/4色刷/212頁 |
刊行日 | 2021年04月01日 |
ジャンル | 美術 |
目次
Ⅰ 観察と表現
観察と表現 三浦明範
1.見たとおりに描く/2.眼とカメラの違い/3.線と面について/4.リアリティについて
II 明暗と色彩
明暗と色彩 三浦明範
1.明暗と色彩の捉え方の違い/2.明暗について/3.明暗の表現/4.色彩について/5.色彩による表現
III 空間と表現
空間と表現 三浦明範
1.古典的絵画空間/2.西洋の近代遠近法/3.透視図法の矛盾/4.日本の絵画空間/5.その他の遠近法/6.マチエールについて/7.現代の絵画空間
IV 構図と構成
構図と構成―1 三浦明範
1.構図と構成とは/2.黄金比について/3.バランスについて/4.対比(コントラスト)について /5.ムーブマンについて
構図と構成―2 吉川民仁
1.絵画のかたち/2.矩形の考察/3.矩形の規格/
4.矩形以外の絵画形態/5.構図とは/6.フレーミングとは/7.構図への取り組み/8.「画」と「絵画/9.タブローの概念
V 現代の表現
現代の表現―1 三浦明範
1.ダダからポップアートへ/2.リアリズムの系譜
現代の表現―2 吉川民仁
1.抽象的絵画の流れ/2.抽象表現主義
VI 表現について
表現について 吉川民仁
1.表現の本質/2.表現することと欲求/3.身体と物質(表現の記号化)/4.表現と素材の選択/5.現代の表現領域/6.オリジナリティと模倣/7.個性の表現/8.個人としての表現
VII モチーフとテーマ
モチーフとテーマ 吉川民仁
1.主題について/2.モチーフとテーマが示す意味/3.モチーフとテーマの解釈/4.動機づけの考察/5.モチーフを見つけ、テーマを育む/6.私にとってのモチーフとテーマ/7.モチーフとテーマの例
VIII それぞれの表現
私の場合 三浦明範
自作の変遷 吉川民仁
おわりに 吉川民仁
キーワード索引
人名索引
書評・紹介
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