かつて大災害をもたらした火砕流が流れ下った雲仙普賢岳山麓。
自然の圧倒的なエネルギーと人間の営みの関わりを探る、
思索と行動と鎮魂のアート・プロジェクトの記録。
長崎県島原半島に聳える雲仙普賢岳が1990年11月、198年ぶりに噴火した。翌年6月、大火砕流が発生し43人もの死者・行方不明者を出したほか、多くの建物などが被災する大惨事となった。その犠牲者のひとりである新聞記者が遺した一枚の写真との出会いをきっかけに、1992年から現地を訪れ定点観測という手法で噴火後の自然と向き合う著者。身体を通して記憶の地層を掘り起こし、見ることの深さを問う表現を続けてきた、ひとりの美術家の25年にわたる活動の軌跡。記録写真を中心に図版を多数掲載。
大浦一志[おおうら・かずし]
1953年、兵庫県生まれ。1975年、武蔵野美術短期大学専攻科デザイン専攻商業デザインコース修了。2003年より武蔵野美術大学造形学部教授。1990年11月の雲仙普賢岳噴火後、東京(自宅)と現地(長崎県南島原市)を往還し自然と人間の関係を見つめる。1992年8月より、現地において定点観測によるフィールドワークを続けている。被災地の風化と再生に向かう環境の中、身体を通して噴火後の自然を実感する「普賢岳プロジェクト」を進行中。2019年3月で51回(27年)を数える。
1998年「第27回現代日本美術展」東京都美術館・京都市美術館(招待作家)、1999年「自然を読む…アナタノ自然ハドコニアル…」埼玉県立近代美術館、2001年「毎日モダンアートオークション2001」ラフォーレミュージアム六本木・出品作品展、2005年「第39回造本装幀コンクール展」東京国際展示場、2012年「MOMASコレクションⅣ アーティスト・プロジェクト 大浦一志:自然と人間 雲仙普賢岳との20年」埼玉県立近代美術館。
1992年「第21回現代日本美術展」佳作賞・世田谷美術館賞、1994年「第23回現代日本美術展」北海道立帯広美術館賞、1994年「第5回TAMON賞」優秀賞、1995年「第24回現代日本美術展」佳作賞・埼玉県立近代美術館賞、1997年「第26回現代日本美術展」毎日現代美術大賞、2005年「第39回造本装幀コンクール展」日本印刷産業連合会会長賞。
パブリックコレクション:世田谷美術館 北海道立帯広美術館 埼玉県立近代美術館
登録情報
著者 | 大浦一志 |
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ISBN | ISBN978-4-86463-127-3 C0070 |
体裁 | A4判/並製/4色刷/176頁 |
刊行日 | 2021年12月15日 |
ジャンル | 美術/芸術理論 |
目次
はじめに:雲仙普賢岳との25 年
襲いかかる火砕流
雲仙普賢岳との出会い 1991年(平成3年)6月6日(木)
制作ノート「移動と体験」
発掘プロジェクトへの道 普賢岳プロジェクト1994 − 2010
雲仙普賢岳「重層・発掘プロジェクト2011-2015」
雲仙普賢岳「被災民家跡、発掘プロジェクト2016」
雲仙普賢岳プロジェクトの展開 自然と人間 ─新たなコスモロジーの形成に向けて[中村 誠]
おわりに
略歴/入選・受賞歴/主な展覧会・活動