イメージか モノか日本現代美術のアポリア
反芸術からもの派まで
1970年前後のアートシーンにおいてあらわになった
観念(イメージ)と物質(モノ)の抗争と対立を解き明かし
〈見るということ〉をめぐる、制作と批評の軌跡を検証する
1960年代の「反芸術」から戦後日本美術の重要な美術動向である「もの派」へ、そして、ハイレッド・センターによる山手線事件、赤瀬川原平の作品を発端に社会現象にまでなった模型千円札裁判。1960年代から70年にかけての日本現代美術の事象を、当時の批評家や作家の実践を通して読み解く。イメージかモノかという困難で切実な問題に、当時の美術の最前線にいた作家や批評家はどう対峙したか—。
中原佑介、W.ベンヤミン、中平卓馬、李禹煥、関根伸夫、赤瀬川原平、高松次郎、中西夏之、G. バタイユ、M. デュシャン、刀根康尚、J. ケージ、森山大道、榎倉康二、栗田勇、R. モリス—。彼らの批評と実践を検証し、日本現代美術の軌跡を追う。
高島直之(たかしま・なおゆき)
1951年、仙台市生まれ。美術批評・近現代美術。現在、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科教授。著書に、『芸術の不可能性――瀧口修造 中井正一 岡本太郎 針生一郎 中平卓馬』(武蔵野美術大学出版局、2017年)、『中井正一とその時代』(青弓社、2000年)。共著に、『高松次郎を読む』(水声社、2014年)、『1950年代日本のグラフィックデザイン』(国書刊行会、2008年)、『日本近現代美術史事典』(東京書籍、2007年)、『デザイン史を学ぶクリティカル・ワーズ』(フィルムアート社、2006年)ほか。
登録情報
著者 | 高島直之 |
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ISBN | ISBN978-4-86463-129-7 C3070 |
体裁 | A5判/上製/256頁 |
刊行日 | 2021年11月05日 |
ジャンル | 芸術理論 |
目次
序章 観念と物質の乖離――アンチ・フォームと「もの派」 1章 イメージ批判の出発点――主体と客体の関係性の瓦解 2章 あらかじめ失われたものとしてのイメージ ――中原佑介「見るということの意味」 3章 事物の傷痕と離人症――アジェとクラインをつなぐ写真実践 4章 反芸術論争の陥穽――模型千円札事件公判記録① 5章 芸術概念の解体へ――模型千円札事件公判記録② 6章 芸術に啓示を与える芸術――いまだ実現し得ぬ何ものか 7章 無芸術のユートピア――模型千円札からハプニングへ 8章 イメージを失くしモノと対峙する――李禹煥の概念芸術批判 9章 カメラはなんでも写る、映ってしまう――記憶と記録① 10章 ベンヤミン「複製技術論」を超えて――記憶と記録② 11章 なぜ写真゠虚像に現実を感じるのか ――闇に向かってシャッターを切る榎倉康二 12章 存在の亀裂のままに――物質との触覚的な出会いを求めて 註 あとがき 協力者一覧 初出一覧
書評・紹介
関連書リンク
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