見知らぬ者への贈与贈与とセキュリティの社会学
パンデミック、そして終わりの見えない破壊と殺戮。行き詰まり閉塞した今だからこそ、マルセル・モースの贈与論の読み解きを通して、来るべき新しい社会のシステムを模索する。
1923-24年モースは贈与論を発表し、当時整備され始めた各種の社会保険に大きな期待を寄せた。第一次世界大戦とロシア革命によって多くのものが失われ、社会のシステムが大きく揺らいだ時代だった。同時にモースはまたボリシェヴィズムへの危惧を表明し、大衆自らの積極的な参加を伴う市場の意義と「協働」を論じた。現代の協同組合、そしてNPO、NGOなどに繋がる「協働」のあり方を通して、社会の再構築と連帯を問う。
1958年静岡県生まれ
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学
武蔵野美術大学教授
社会学
著書に『社会学のまなざし』(橋本梁司監修、武蔵野美術大学出版局、2004年)、『社会学史の展開』(分担執筆、学文社、1993年)など。
訳書に、アンソニー・ギデンズ『近代とはいかなる時代か─モダニティの帰結』(共訳、而立書房、1993年)。ウルリッヒ・ベック、アンソニー・ギデンズ、スコット・ラッシュ『再帰的近代化─近現代における政治、伝統、美的原理』(共訳、而立書房、1997年)など。
登録情報
著者 | 小幡正敏 |
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ISBN | ISBN978-4-86463-153-2 C3036 |
体裁 | A5判 上製 320頁 |
刊行日 | 2023年02月15日 |
ジャンル | 人文・社会・自然 |
目次
【目次】
はじめに
Ⅰ部・贈与
1章 見知らぬ者への贈与
2章 不純な贈与
3章 無償の愛と社会喪失
4章 アルカイックな贈与──クラとポトラッチ再考
5章 贈与という賭け
6章 贈与、この社会的なもの
Ⅱ部・セキュリティ
7章 AAAの高齢者──動員し選別する保険
8章 持続可能な社会保障?──エコロジー的近代化型福祉国家のゆくえ
9章 二階建ての医療──プロイセン・モデルとアメリカ・モデルのあいだに
10章 ポーパリズムの統治
Ⅲ部・保険
11章 社会の発見──保険と調査
12章 保険の優しさと残酷さ──社会的なものの解体
参考文献(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ部)
関連書リンク
小幡正敏/著 橋本梁司/監修 / 定価:2,090円 (本体価格:1,900円)