美術の教育多様で寛容な「私」であるために
誰もが自らの感性や価値観に自信を持ちながら、
他者との共存・共生から学び、成長する豊かな世界。
その実現のために「美術の教育」が担う役割とは
多文化共生へと進む現代社会において、学校教育における「美術」への期待度は年々高まっている。一方で「美術が苦手な人」は常に存在している。その美術に対する不信感、苦手意識の背景についての理解や、芸術文化を取り巻く様々な状況の多角的な考察を通して、これからの社会における美術とその教育の意味を考える。長年にわたり美術教育と美術科教員養成の現場に立ち続けてきた著者による、「美術の教育」をめぐる未来への提言。
1953年、長崎県生まれ。1979年、武蔵野美術大学大学院修士課程修了。武蔵野美術大学教授。専門分野は、美術・工芸教育法、教育方法。初等中等教育段階を中心とする造形美術教育の実践的研究。特に、造形能力の発達とその社会的教育的意味に関する研究、及びその題材と教育方法の開発。主な著書に『美術教育資料研究』(武蔵野美術大学出版局、2014)、『工芸の教育』(武蔵野美術大学出版局、2017)、『美術教育の動向』(共編著、武蔵野美術大学出版局、2009)、『求められる美術教育』(編著、武蔵野美術大学出版局、2020)、『美術 表現と鑑賞』(共編著、開隆堂出版、2021)、令和三年度用文部科学省検定済中学校美術教科書『美術1』『美術2・3』(著者代表、開隆堂出版、2021)など。現在、開隆堂中学美術教科書編集委員会(日本造形教育研究会)著者代表、公益社団法人日本美術教育連合理事長、公益財団法人教育美術振興会理事、国際美術教育学会(InSEA)会員、美術科教育学会会員、大学美術教育学会会員。
登録情報
著者 | 大坪圭輔 |
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ISBN | ISBN978-4-86463-163-1 C3037 |
体裁 | A5判 上製 240頁 |
刊行日 | 2024年03月30日 |
ジャンル | 教育 |
目次
はじめに
第1章 美術が苦手な人
美術が苦手な人/才能論/「美」の共有/アートインフラ
第2章 美術と関わる
見ることへのこだわり/行動としての鑑賞/素人美術愛好家/日曜日の美術館から
第3章 美術を学ぶ
美術の学びが必要な時代/造形美術教育研究の課題/日本美術の学習/学びのリアリティ/専門高校の行方
第4章 美術を教える
美術教師になる/美術教師の仕事/ことばと体験の間/百聞ハ一見ニ如カズ、百見ハ一試ニ如カズ/美しい美術の教科書/個性の教育
第5章 美術工芸と生活
文化論としての仕事と労働/道具と手仕事思考/忘れられる造形/機能美と用の美
第6章 文化の継承と創造
世界は形と色でできている/文化を受け継ぐ、創造する/PISA調査/エネルギーとしての突破力/アート好きの行方
第7章 美術と教育の未来
文化に関する世論調査/映像メディアと美術教育/子どもの存在 /児童画、アートとして教育として/「人それぞれ」の条件
おわりに