「先生、大変でした」と学生から報告があった。学内の池のシートの老朽化などで水が流れたり、せっかく生まれたオタマジャクシが危機に瀕する事態があった。今年は日本画の池のオタマジャクシは写真のようには順調に育っている。ただ広場の池では水質が良くないためか、状態はよくない。
武蔵野美術大学の最大のヒキガエル繁殖池は、ノーゲ海と呼ばれたブルーシート製の共通絵画研究室の池だった。それ以前は水はけの悪かった時代の共通彫塑の堀などが知られる。ノーゲ海は9号館建設にともなって取り壊され、建築学科の池と、旧2号館中庭のカエル池がつくられた。武蔵野美術大学短期大学部の廃止と芸術文化学科・デザイン情報学科の新設がこの背景にある。残念ながら2号館新築にともないこのカエル池もなくなった。油絵学科と彫刻学科の施設拡充のためである。その後、日本画の池と広場の池が造られて現在に至るが、建築学科の池は昨年あたりあたり土砂で埋まり繁殖池の機能を果たしていない。
ヒキガエルの池は武蔵野美術大学の正史に書かれることはないが、この20年ほどの変遷は、武蔵野市美術大学の新学科や施設拡充などの歩みの裏面史でもある。大学は社会の変化にふりまわされるが、カエルもまた大変である。
(ケロT取締役)
コメント
「ノーゲ海伝説」補足
「ノーゲ海」は当時共通絵画研究室の助手をしていた、たほりつこさん(現東京芸大教授)が、暇そうにしていた短大芸能デザイン専攻 農芸コースのNo 芸 な学生に「暇だったら池でも作りなさい」と指導したところから作られた池である。けっして「エーゲ海」もじったネーミングではない。
その後ノーゲ海は共通絵画研究室の助手によって代々管理されたが、ご指摘の通り9号館建設に伴い埋め立てられることとなり、当時の助手がオタマジャクシをすべて救出し近くの池に放流したとのことである。
「オタマジャクシ救出大作戦」を記録したドキュメンタリーが映像学科の学生により作成され、たぶん共通絵画研究室に残っているはず。
しらなかった。てっきりエーゲ海をもじったものだとばかり…。勉強になりました。カエルもたいへん。