ことしの春への捧げもの

明日6日は啓蟄です。「冬籠もりの虫たちが這い出る日」なので、春がいよいよ本格的に始まるか、という時期なのですが、今年は朝夕がまだ冷えるので虫たちは用心していただきたい。とくにカエル。ほんとに暖かくなってから出てくるように。

鎌倉初期に成立したといわれる発心集に
「佐國花をあひして蝶となる」という話があります。
大江佐國(おおえすけくに)は生前深く花を愛し、「生まれ変わってもきっと花を愛する人に生まれよう」という漢詩を残すほどであった。ある人から、佐國が蝶になった夢を見たと聞いた(佐國の)息子が、蝶になったかもしれない父のために庭中に思いつくままに花を植えている、という話です。

発心集は仏教説話なので、佐國の話は「あまりに花に執着したので蝶に転生してしまった、このような例もあるので、妄執を残すものではない」と諫める話です。
一方で、妄執を断ち切るために、大事にしていた梅の樹を切り倒してしまった僧の行いを立派と褒めるのですが、t:eehは、蝶に生まれ変われて佐國しあわせじゃん、とか思う。

きれいさっぱり断ち切って往生しちゃうえらい僧よりも、心のこりを抱えて死んで、だから蝶々になっちゃったかもと息子に心配される佐國のほうが素敵じゃん。
t:eehは佐國大好きである。
と、チューリップとけしの花を見て思ったりしたのである。
春間近。

編集:t:eeh

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