造本装幀コンクール

昨年10月刊行の白石美雪著『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』が、このたび第44回造本装幀コンクールにて審査員奨励賞を受賞しました。撮れたての書影をご紹介します。凹山人撮影による『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』です。

可愛いでしょう。しかも繊細。中央のタイトルがはいった帯の左端をよーく見ていただくとわかりますが、きのこ、が。ほんとか?と思った方は書店にてご確認ください。裏表紙では中央に、きのこ。ケージは無類の「きのこを愛する人」でもありました。
各章扉、本文組も見てください。造本を手がけてくれたデザイナーの寺井恵司さんが、ユーモア、ア・シンメトリー、ノイズ、余白をテーマに、本全体でケージの音楽が奏でられているようにと工夫を凝らした一冊です。
そういう点が評価されての受賞です。審査の観点は本文の文字組み、色使い、レイアウト、表紙カバーの美しさ、機能性、材料の適性、印刷、製本など。
ご協力くださったみなさんにあらためてお礼を申し上げます。
造本装幀コンクールは日本書籍出版協会、日本印刷産業連合会の主催で毎年開催され、受賞作品は7月8日から11日までの国際ブックフェア会場にて展示されます。
さらに、コンクールの出品作品はドイツのライプツィヒで開催される「世界で最も美しい本」国際コンクールに出品されます。
「世界で最も美しい本」…なんと素敵な響きでしょう。
本を作るたびに思うのですが、造本は実に奥深い造形です。
その基点となるのが原稿です。まず、著者の思想・思考があり、それに触発されたデザイナーが相応しい造形を施し、一つの具体的な書物として書店に並び、見知らぬ人の手に渡る。
それを宝物として所蔵してくれる人もどこかにいるはず…などと思うと、なにやら幸せな気分になるのでした。

編集:t:eeh

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