さくらんぼの味

八百屋さんの奥から「さくらんぼ買って買って」と可愛らしい女の子の声が聞こえます。
声はだんだん近づいてきて、ほとんど涙の懇願。
「さくらんぼ買ってぇ、どんな味かわかんなくなっちゃったから、買って〜」
なんと論理的なおねだり❣️ いいぞ、座布団1枚、いや、2枚やっとくれ!なんて思ってたら、お母さんの姿が見えました。
赤ちゃんを抱っこした若いお母さんは、まっすぐ前を見て、女の子の腕をしっかりつかんでスタスタと店を出ていってしまいました。母は強し。座布団の枚数なんぞ知る由もない。

そのあと国分寺駅のコンコースを歩いていると、駅ビルに20メートルくらいの行列がはみ出ているのが見えました。みなさん手に手にカーネンションのブーケを持って。なるほど。母の日のプレゼント、花屋さんの行列です。
行列を横目に、ハム母ならば苦笑いしながら「自分で買っておいで」とお金をわたしただろうなぁ・・・小さいハムコは一人で買い物をするのが恥ずかしくて、なかなかできなかったんですよ。でも、さくらんぼならば、勇気をふりしぼって買いにいったかな・・・なんて思いながら帰宅しました。いつのまにか、十三回忌がすぎました。
(編集:ハムコ)

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