みる・かぐ・さわる
「図書新聞」3月1日に「共にヨーロッパ留学体験をもつ彫刻家父子の往復書簡」と題して、松本夏樹先生が『保田龍門・保田春彦往復書簡1958-1965』紹介を書いてくださった。サブタイトル「西欧近代との邂逅という『大きな物語り』が父子二代の内に個的に再現される」がその内容をぴたりと言い得ている。松本夏樹先生は龍門先生ご長女の子息、つまり孫である。おじいちゃん子であった夏樹先生は、今や映像文化史の研究者であるが、おじいちゃんのアトリエで過ごした幼少期をそのアトリエの「匂い」で懐かしむ。さらには、塑造原型に巻くシュロ縄や油粘土の手触りを思い出すのだという。そして「今でも彫刻作品をみるとつい手を触れたくな...