東方の空
「さあ、行くか」と玄関に立った瞬間、稲光に続いて雷鳴それから、どーん!!という大きな音が。どーんって、どーんって何事!?と思いながら後ろを振り返ると、猫が泣きそうな顔をしながら階段を駆け下りてきた。「泣きそうな顔」というのは、ただでさえでかい目玉をさらにでかくして、腰を落としてヘコヘコと、それでも凄いスピードで真剣に慌てふためく猫の姿からくるイメージなのですが。稲光が走り、雷鳴が轟くたびに1階から2階へ、2階から1階へと、ひたすら走る猫。たぶん音と光が届かない安心安全な場所を探している。が、今此の時にそんな場所はないのだと言っても、猫はそんなこと知ったことではない。見ていられなくて、猫の隠れる...