訃報のつづく梅雨はじつに寂しい。
大学出版部協会の前理事長であった山口雅己さんの
通夜が月曜日にあった。
東大出版会の前専務理事でもあり、いくつもの要職を
同時に務めておられた。
当時、まだ本郷にあった東大出版会にお邪魔すると
山口さんと常務理事の竹中さんがお雛様のように(?)
机を並べておられ、呑気にもハムコはシュークリームを
手土産に、ずいぶんといろんな相談をさせていただいた。
東大出版会のような老舗に比べれば、ムサビ出版局など
赤子のような存在だったが(今もそうだが)
赤子の話をよくも聞いてくださったものだと思う。
できたての『日本古典芸能史』を持参すると
「これは面白い本ができたね」と言ってくださり、
しばらくたって「ちょっと気になるところがあったよ」
と、そっと誤植を知らせてくださったこともあった。
あれほど多忙な方が、じつに丁寧に読んでくださり、
こうした指摘をさり気なくしてくださったことに
たいへん驚きもし、ハッと背筋が伸びるというか、
襟をただす瞬間でもあった。
遺影の山口さんは、とても柔和な笑みを浮かべて
おられた。三人の息子さんは、すらりと背が高く、
山口さんの若かりし日もかくあらんと思った。
ダンディーで優しい方だったと言うと、異論を唱える
人もあるかも知れないけれど、私どもムサビ出版局の
山口さんへの思いは、そうとしか言いようがない。
[編集:ハムコ]
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