クラフト紙に梱包されて、製本所から版元に届く。
「納品でーす」と、この包みがテーブルに置かれても
その梱包をすぐにあけることができない。
誰かにあけてもらって、そっと後ろからのぞきこむ。
制作担当の呑猫が、きちんと座って1ページずつ繰る。
奥付まで確認して「はい、ノンブルは通っています」
という声を聞いてから、恐る恐る手に取る。
手にした瞬間、本がすーっと宙に浮く。
ああぁぁ、これで、もうわたしの手からすっかり離れて、
遠いとおい見知らぬ読者のもとに行ってしまうのだ!
こんな話はカメラマンの山田能弘さんにしたことはない。
にもかかわらず、その瞬間を切り取ったような書影!
あ、これは束見本に、ジャケットの色校をかけて撮影を
してもらいました。
[編集:ハムコ]
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