「ハチ没後〈ハチ十年〉に捧げる」という帯を見て
東大出版会がこんな本を出すのか?!と驚いたのだが、
昨年3月のシンポジウム「東大ハチ公物語」をもとに、
同タイトルでつくられた本だという。
『ドボク・サミット』というオタク・シンポジウム本を
担当したハムコとしては、興味津々・即刻購入。
今年の3月には「ハチ公と上野英三郎博士」像建立が
ニュースで話題になった。
でも、ニュースでこの像を見たとき、正直に言うと
「飼い主を見て嬉しくなって飛びかかる犬というのは、
赤ちゃん犬か、バカ犬か、どちらかに違いない・・・」
と呆れたのだ。あまりに無邪気すぎる造形。
しかし、編者である一ノ瀬正樹先生によると、
この像は、夢の中で再会を喜ぶ二人(正確には1人+1匹)を
描いたものであって、あくまで「創作」された姿だという。
人々の想像を搔きたてる「二人」。
その関係性をまじめに考察した本であって、
オタク系の情熱本ではないのでありました。
中でも冷静に(むしろ冷徹に、像造まで含めて)書かれた
遠藤秀紀先生の「学を喰うイヌ」は面白い。
(こんどはこの先生の御本を読もう、と思わせる筆致)
そういえば、ブルーノ・タウトもハチ公を撮っていたっけ。
久しぶりに『タウトが撮ったニッポン』を手にして
ハッとする。その帯の文言たるや、
「渋谷のハチ公もピンボケ?!」
なんと安易な帯であろうか。しかも四色刷なのだった。
反省するばかりの日日である。
[編集:ハムコ]
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