新見隆先生の『キュレーターの極上芸術案内』は、まさに
印刷なう!という状態。
本日は、その装幀は如何にして決まりしか、というお話。
「ニューヨークに始まり古里の尾道へ、花の巴里から東京、
古都京都はもちろん、第2の故郷ウィーンのつぎには大分ね、
なんたって大分県立美術館の館長だもの!
でもどこがいいってオランダよ、となってそこから那須の
アート・ビオトープに飛んで、さいごは武蔵野の雑木林に
戻ってくるわけ」とデザイナーの馬面俊之さんに、
ゲラを前に熱弁する編集者ハムコ。
毎度の唐突なハムコの説明にも、包容力のある馬面さんは
決して動じない。
(馬面さんは「ばめん」さんとお読みます。
『ミュゼオロジーへの招待』も馬面さんデザインです)
「帯の背は〈浪漫主義者の都市巡り〉で決定ね。
新見先生は自他ともに認める浪漫主義者だから。
で、これは新見先生がオットー・ルンゲに捧げた、
切り絵の作品集。綺麗でしょう?」
「こういう切り絵を連続させて、文様としてね、
ほら、与謝野晶子の歌集みたいな、明治浪漫主義チックな
古風なかんじで、つくったらどうか知らん」
しずかに頷く馬面さん。
ゴールデンウィークを挟んで待つこと2週間。
「極上だから、ゴールドいいでしょ」
ニコニコするデザイナー、啞然とする編集者。
当初、新見先生らしくない本にしたいと考えていた
のだけれど・・・都市を巡り、美術に思いを馳せ、
展覧会を企画する学芸員の仕事。でも、そこには
家族があり、家族や仲間と囲む食卓があり、
花が咲き、風が吹き、鳥の声を聴くのとおなじく
音楽を愛で、本を読む日日の暮らしがある・・・
あたらしい浪漫主義は、こうでないとね。
[編集:ハムコ]
コメント