黒板ジャック:世田谷区東深沢小学校

シルバーウィーク最終日の9月23日、東京都世田谷区の
東深沢小学校で黒板ジャックの「仕込み」があると聞き、
許可を得てお邪魔させていただいた。
連休明けとなる翌24日に、1年生から6年生までの
全21クラスの子どもたちをビックリさせようと、
ムサビ生だけでなく、保護者や地域の方々も
「仕掛け人」となった。
こんな大掛かりな黒板ジャックは初めてだという。
朝9時半に開始。ディープ・パープルをがんがん鳴らし、
大きなパンダを次々と描くチームもあれば、
慎重に細い線でうっすら下書きをしたまま
ひとり黒板をじっと見つめてなかなか動かない描き手も。

24日は5時半に起きて、8時前に1年生の教室の
廊下で待機。来た来た、一番乗りは男の子。
後ろの扉から教室に入ろうとして
「ぉお」
低い声でそう言ったきり、固まっている。
恐そうにしている。
だんだんクラスメイトが増えてくると
きゃーきゃーわーわー大騒ぎになる。

ハムコのいちばんの興味は「消される瞬間」にあった。
半日もかけて描いた黒板の絵が消し去られる瞬間、
どんなかんじなのだろう・・・
いつもは作者自身が、颯爽と登場して消し去るのだが、
今回はそれぞれの担任の先生が消すことになった。
3年生のクラスをそっと覗かせてもらう。
巨大な魚が一匹、口から算数の数式をぷくぷく
つぶやくように吹き出している絵
なのだが、
直径10センチほどの目玉には、魚眼レンズよろしく
教室の机が描かれている凝った作品だ。
若手の男性の先生が、黒板の前に立つや、
くるっと目玉をくり抜くように消し去った。
鮮やかな身のこなし!
「やめてぇー」「ぎゃー」と叫ぶ子どもたち。
しかし、このクラスの先生と子どもたちの息が
なんともぴたりと合っているのである。
良いクラスだなぁ。
こんな空気を伝えられるような本にしたいなぁ。
[編集:ハムコ]

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