シュールだね1

って、わりと便利に使われる言葉です。
まったき感嘆は当然、なんといえばいいかわからないときも、お茶を濁したいときも含まれているはず。
surrのもとの意味は「非現実的な」「現実離れした」ですが、現実から離れたものを意味する言葉なので、解釈とか使われ方も曖昧に拡大するのかもしれません。

アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を世に問うたのは1924年のこと。美術運動としての Surréalisme シュルレアリスムの始まりです。「超現実主義」と訳され、最初に日本に紹介したのは詩人の西脇順三郎だといわれます。

シュルレアリスムをどう解釈し、どう伝えるべきか。
瀧口修造(1903〜1979)は表現行為としての写真を通じてシュルレアリスムを論じています。
日常的な現実の深い襞の影に潜んでいる美を見いだし、無意識のうちに飛び去る現象を眼前にスナップすることがシュルレアリスム「超現実主義」だと。

この瀧口のシュルレアリスム論を出発点に写真家・中平卓馬へ、あるいは岡本太郎へ、という企画本をいまゴチャゴチャやってます。繊細で曖昧でとらえどころがない(ように見える)ものを、どうすれば「かたちあるもの」として定着させられるのか。本作りもどこかシュールです。

ところで、アンドレ・ブルトンがシュルレアリスムを宣言した1924年はヨーロッパ社会が大きく変わっていく変化と混沌の時代でもありました。どんだけ悲惨で、かつ面白い時代でもあったか。以下、長くなるので、続きは次回です。

編集:t:eeh

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