シュールだね 2

シュルレアリスムが生まれた19世紀初頭はヨーロパ社会が大きく変わっていく時代であって、どれほど悲惨で、かつ面白い時代でもあったか、と前回のブー当番で書きました。

新しい思想や芸術運動が生まれ、それが、いま私たちが見ている「世界」に繋がっているわけなので、そういう意味では「面白い」といってもいいのかもしれないです。

だけど、1914〜1918年に第一次世界大戦があり、1917年にロシア革命が起こりファシズムが台頭し、ドイツがいろいろと大変なことになり、スペイン内乱、第二次世界大戦の予兆と、市井の人々にとっては極めて悲惨な時代でした。

アインシュタインの相対性理論の発表が1915年、翌1916年にスイス・チューリヒでダダ・ムーブメントが起こります。

ニューヨークでは第一次世界大戦を逃れて移住したデュシャン、ピカビア、マン・レイらが中心となってニューヨーク・ダダが生まれます。チューリヒ・ダダと時期を同じくし、思想的にも共通するものがあるけれど、その発生は独立したものと言われます。

はじめて経験する世界大戦のさなか、多くの若き芸術家たちが世界のあちこちで新しい世界「真正な現実」を模索して悲鳴をあげていた、そんな気がします。

それまで確固として存在した「世界」の理が揺らぎ、多くの人が不安を抱えていた時代に、不安を友として生きるのか、不安と戦うのか。このあたりは寺山祐策 編著『エル・リシツキー 構成者のヴィジョン』収録の「リシツキーと20世紀」で、多木浩二さんが現代の問題として切実な問いかけを展開しています。ぜひ読んでほしいです。

編集:t:eeh

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