神田神保町にある東京堂書店1階では、今日から
美術書出版会のフェアがはじまる。
このフェアでは、美術書出版会に所属する版元が、
他社の本を推薦して、自社の本と同時販売する、
という仕掛けがほどこされている。
先日、他社刊行の3冊を選んで、短い推薦文を
書かせていただいた。
種明かしをしてはいけないかもしれないが、
そのうちの2冊をここで御紹介したい。
というのは、その文章はあまりに短くて、
なぜこれを選んだのかをうまく書けなかったからだ。
『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉』
サブタイトルは「ダンスのような、介護のような」
作者はダンサー、砂連尾理さん。
「じゃれお・おさむ」さんとお読みする。
昨秋、晶文社から刊行されたこの本を、今年のお正月に
読んだ。「読み初め」に相応しい真っ赤なジャケット。
プロのダンサーが、ほとんど身体が動かない(と思われ
ている高齢者)を相手に一緒にダンスする、その葛藤が
描かれている。
砂連尾さんは、相手をじっと見つめる。相手を見つめる
ことによって、自分の身体の動きが引き出される。
相手の(動かない)身体の発する、見えない動きが、
彼を動かす。これはなんとも不思議な話ながら、
深澤直人先生のデザインの手法と同じではないか
と気づいたのだ!
そこで、もう一冊のおすすめは、もちろん、
深澤先生の『デザインの輪郭』
TOTO出版から2005年刊行、その後いくつもの版を
重ねているロングセラー。
人の行為を、既存のモノを、じっと見つめ観察する
ことから、あたらしいかたちが現れる。
他者とのあいだに介在する空気から生まれるものが、
不思議なテンポで描かれている。
この2冊は『ホスピタルギャラリー』へと連なるのだが、
やっぱりうまく書けないなぁ。。。
[編集:ハムコ]
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