芸術文化がつくる地域社会

今井良朗 著『ワークショツプのはなしをしよう 芸術文化がつくる地域社会』は、徳島県神山町、北海道網走市、長野県安曇野の松川村での、地域固有の記憶と文化を核としたワークショップの試みを伝える本です。
こうした本を編んだ背景には、かつて芸術や文化は生活とともにあったのであり、いまも記憶の中に残る伝承を繫ぎ再生産することで芸術と地域社会の新しいあり方に寄与したいという著者の信念があります。

昨日、民俗学を学ぶ友人の案内で奥多摩根元神社の獅子舞を見てきたのですが、これが勇壮でで素晴らしくて、まさに地域固有の記憶と文化を伝えるものでした。
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境内で朝から夕方の6時まで、7つのタイトルの獅子舞があって、私たちが見たのは昼前の「花がかり」からお昼休みを挟んでの「棹がかり」「毬がかり」「雌獅子隠し」(昨日もらってきたプログラムが手元にないので漢字がわからない)までで、「これからがクライマックスのいいところ」という6番目の演目とラストの白刀は電車の時間の都合であきらめたものの、お昼前から4時すぎまで、境内の周りに組んだ石組みの桟敷席で、しかも柔らかなゴザ敷きのかぶり付きで堪能してきました。

上の写真は「雌獅子隠し」で、かぶり付きで見ていた私たちは、獅子の激しい動きを見るたびに口をあんぐりさせ、興奮しきり。
根元神社の獅子舞は下半身を低くして舞うという特徴があり、さらに素早く激しく、筋立てに沿って獅子の感情も表現するところに特色があるらしいのですが、いやもうかっこいいのなんのって。
3〜5キロの獅子頭をつけているにもかかわらず、四肢のキレ、背筋の強さ、素早い身のこなし、ぎりぎりまで身を沈めて跳ねる下半身のバネとか、ほんとにかっこ良くて。
西の獅子舞にはない男っぽさで、武州多摩の心意気という感じがしました。

当日は朝から地域の人が炊き出しし、しかも舞の技術は父から子へと伝えられるという、文字どおり地域固有の記憶と文化との出会いでした。

編集:t:eeh

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