春宵一刻値千金というのは、蘇軾(そしょく。中国北宋時代の政治家、詩人、書家だそうです)の「春夜」詩の冒頭です。
春の夜の素晴らしさはひとときが千金にも値するほど素晴らしい。花は清らかな香がただよい、月は朧に霞んでいる…と続きます。
白い点々はすべて花びらです。
京都蹴上のインクラインで、時まさに春昼。
満開の桜の花吹雪です。も「ん」のすごい勢いの落花で、全身が花びらの渦に包み込まれた一瞬でした(写真に撮るかどうか一瞬迷い、思い直して携帯を取り出し4カット撮る時間はあった)。
写真だとなにもかも物足りない。さらにウェブ用に解像度を落としてしまうといっそう物足りないのですが、牡丹雪が素晴らしい勢いで横殴りに降ってくる、というと身も蓋もないですが、そんな感じです。
あまりに凄くて一瞬目を閉じてしまったことが悔やまれますし、写真なんぞ撮らずにひたすらうっとりしていればよかったという気もします。
久しぶりに泉鏡花の『春昼・春昼後刻』を読み返してみたくなりました。
あまつかぜ 雲のかよい路 吹き閉じよ おとめのすがた しばしとどめむ
全然関係ないのですが、僧正遍照のこの歌を思い出すような、のどかで爛漫な春の日の、ほんの一瞬の邂逅。
編集:t:eeh
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