一昨年からの企画で、実際に御原稿をいただいたのは昨年の初夏から。
第1章は9人の先生の論考で、1本ずつが独立したものなのでまったく問題はなかった。
第2章の技法解説は(おそらく)書くべきことは決まっているので、これもさほど(編集が)大変になるとは思えなかったが、8つの節を4人の著者が書くため、書き方がバラバラにならないように、そこは気をつかわないと・・・
「地塗り」の御原稿をいただいて拝読。地塗りには「水性地、エマルション地、油性地」に分類されるとあり、それぞれの解説があるはずなのに、なぜか油性地についての記載がないようで、油絵を専攻していないハムコ、あれ、ないのかな、いやいや、この記述が油性地にあたるのかな・・・さんざん悩んで著者の先生に恐る恐るおたずねする。
「ごめんね、書き忘れてた」という明瞭なご返事。
マジですか?
忘れないでしょ、普通!と言いたくなるが、同時進行で第3章の制作過程の作品を描き、描いては写真を撮り、撮っては文字原稿を書き、という仕事をこなしていると、つい、忘れてしまうのも無理はない。
絵画組成室のホワイトボードには「先生たちのノルマ」と書かれ、それぞれのお名前の横に「風景」「人物」「植物」などなど、ストイックなタイトルがいくつも並んでいる。そのタイトルに大きなバツがついているものもあり、
「あのバツ、なんですか?」と聞くと、研究室にいた全員が声をそろえて力強く「ボツ!」
えっ、ボツになる作品があるの?
完成してからボツになるの???
なんと恐ろしい研究室であろう。
第3章には、11作品の制作過程が228枚の写真とともに掲載されているが、その奥には数知れないボツになった作品が息づいているのである。
[編集:ハムコ]
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